「ずっと、亜依ちゃんのそばにいたいな……」
夕食後、自分の部屋のベッドに寝転びながら、ぼんやり天井を見つめていた。
中間テスト、私のせいなのに怒らず優しくも接してくれた亜依。
亜依に助けられたことが、申し訳なくもあり、嬉しくもあった。
それでも、亜依と一緒にいたいと思う気持ちが強かった。
週末、図書館で亜依と勉強会をすることになっていた。
並んで一緒に座り、中間テストの復習が中心だった。でも、亜依には順位のことは結局言えなかったな。
一緒に勉強を始めると、亜依の真剣な姿に見惚れてしまった。亜依がノートにペンを走らせる音、ページをめくる音が心地よく響いた。私は亜依の隣にいるだけで楽しかった。
「藍ちゃん、これ分かる?」
亜依が問題集を指差し、私に質問してきた。私はその問いに一生懸命答えようとしたが、なかなか上手くいかない。そんな私を見て、亜依は優しく教えてくれた。
「亜依ちゃん、本当にありがとう……。私がこんなに分からないことばかりで、迷惑じゃない?」
「全然そんなことないよ。人に教えると自分の勉強にもなるから」
亜依が微笑んだその言葉に、私の心は救われた気がした。
「ちょっと休もうよ」
亜依が懸命に教えるも理解できず、オーバーヒートしてしまった私を気遣ってくれた。
「あ、ありがとう……。いつも、いつも……」
自乗が混ざった計算が、どういう事情でそうなるのか分からず、絡み合った脳内を休憩で自浄しよう。それしか今はなかった。
学習室から休憩室に移動しながら、亜依がカバンから何かを取り出した。
「今日は、わたしが買ってきたから一緒に食べよう」
「チョコレートクッキーだ! 嬉しい……!」
亜依が買ってきたのは、スーパーなどでよくある個包装のチョコレートクッキーがいくつか入っていた。
「わたし、これ好きなの!」
「亜依ちゃんも? 私も好き!」
亜依と同じものが好きで、私はちょっと嬉しくなった。
「このチョコチップが入っているのがいいのよ」
「分かる。美味しいよね」
休憩室で並ぶように座り、一緒にチョコレートチップクッキーを食べた。こうやって亜依と何気なく過ごす時間も好き。だからこそ、嫌がらずに亜依との勉強会に応じているの。
「亜依ちゃん、今日もありがとう。楽しかった」
「役に立てて良かったよ。また一緒に勉強しようね」
別れ際、亜依と一緒に過ごした時間が名残惜しかった。
亜依が帰る姿を見送りながら、胸がキュンと締め付けられるような感情を抱いた。それは友情だけでは言い表せないような特別な感情だった。
「ずっと亜依ちゃんのそばにいるために、私も頑張ろう」
勉強を頑張れば、亜依と少しでも一緒に居られる気がした。
亜依と一緒に過ごす時間が、私にとって一番の楽しみだから。