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あいとあい

2人の女子中学生の話「あいとあい」を書いています。

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第14話:あいときまつてすと

第14話:あいときまつてすと


「期末テスト、頑張らなきゃ」
 自宅のベッドに寝転びながら、何度も由佳の言葉を思い出していた。
 亜依と同じ高校に行きたい、そのためには勉強をもっと頑張らなければならない。
 放課後のあのとき、由佳から「中学三年生までに追いつくには、今回70位くらいは取らないと——」と言われた。
 90位から70位に上がるのは簡単なことではないくらい私でも理解していた。しかし、亜依と一緒にいるためにはその目標を達成しなければならないと強く感じていた。
 それは由佳も言っていた。柿の何かが、どうのこうのって。
「もっと頑張らなきゃ……」
 こうしている間にも、時間は過ぎていく。私はあと二年で亜依たちに追いつかなければならない。
 あと少し勉強してから寝よう。

 土曜日、期末テストも近いとあって、亜依と一緒に図書館で勉強会をすることにした。
 図書館の驚くほど静かな学習室で、いつものように並んで座り、教科書やノートを広げて勉強を始めた。
 亜依は優しく説明をしてくれて、その笑顔が私の心を癒した。
「この問題、わからないところがあるんだけど……」
 困惑した顔で亜依に質問すると、すぐに解説してくれた。
「ここはね……、こういう風に考えるとわかりやすいよ」
 亜依の説明を聞いて、少しずつ理解を深めていった。
 一方では、心の中では不安が募っていた。
 『私の本当の気持ちを言ったら、私は亜依に嫌われる』
 私は心の中でそう思いながら、亜依との時間を大切にしていた。
 亜依に自分の気持ちを伝える勇気がなく、ただ友達としての関係を続けることに精一杯だった。

 少し休みを入れることにして、休憩室でポテトスナックを食べることにした。
「わたしは、今回の期末は由佳には勝てないかもしれないけど、三年生までには勝ちたい」
 亜依がポテトスナックを食べながら、ぽつりと呟いた。
「そうだよね……。勝てるといいね!」
「だって、それくらいしないと、あいじょは無理だよ」
 亜依を傷つけないように相槌を打ったが、由佳は亜依がどう思っていたか分かっていたんだと思う。
 だから「言わない方がいい」や、亜依たちに負けないように「ライバルは自分だけ」と言ったのかな。
 由佳の言うとおり、あいじょのことは亜依に話さないのが正解だと感じた。亜依がライバルだと感じることで、この亜依との関係が壊れるのが私は怖かった。

 期末テストの日が近づくにつれて、少しずつ自信を持ち始めたような気がしていたかな。
「前よりは手応えがあったかも」
 期末テストが全て終えて、中間テストよりかはできたと思っている。
「ねえ、翔子は何位だった?」
「67位だよ。早智は?」
「64位! ちびあいちゃんは?」
「私は……70位!」
 二人を抜くことはできなかったけど、ひとまず追いつけた。
 でも、本当に追いつかなければならないのは、亜依たち。
『今度は嘘をつかなくて済んだ』心の中でそう思いながら、喜びをかみしめた。
 しかし、一番の嘘は亜依に進学先を言わないこと。それが一番心苦しいことだった。

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